MESSIAH 平和への希求
2022年11月27日
戦争は罪なき人々を無残な方法で殲滅する。その陰で数え切れない人々の悲しみ、苦しみが続く。
武器がなければ戦争はできない。人を殺すこともできない。
しかし武器を作り続けることで利益を得ようとする死の商人が存在する限り、いつまでも戦いはおわらない。
私たちは5年前、ウクライナからやってきたキエフ国立交響楽団と『第九』を共演した。
またその翌年、ロシアから3人の民族楽器奏者を迎え、東京で数回のコンサートを行った。
彼らが楽器を武器にかえ、国の命令で、お互いに銃を向けあうなど、決してさせてはならない。
私たちが何十年も前から歌い続けてきたヘンデル『メサイア』は我々すべてにひとり子が与えられ、
かれは平和の天使と名づけられ、全ての人がその喜びをともに見ると歌った。
そして地上に永久の平和が訪れることをよびかけた。
地球の上にある戦争のための武器が、この地球の土深くに埋められ、
そこに育つ緑ゆたかな土の上でハレルヤコーラスが歌われる日が来ることを望まずにはいられない!
三年前、アフガニスタンで白衣とトラクターで人びとに豊かさを取り戻そうとした中村哲さんが凶弾に倒れた。
メサイアを歌うことで哲さんの思いを学び、引き継ぎたい。
2023年2月、渡部智也は、ロシアのウクライナ侵攻1年を超えるにあたって、
メサイアの中に脈々と歌い継がれてきた戦争のない平和な世界への希求をそのテーマとして取り組む。
合唱指揮:郡司博