Message from Daijiro Ukon

2024年05月08日

■10月20日の指揮者 右近大次郎氏からメッセージが届きました■


今回の演奏会はレナード・バーンスタイン作曲交響曲第1番『エレミア』で始まり、ジョン・ラター作曲の『グローリア』で終わります。間にはアーロン・コープランド作曲の「静かな都市」とベンジャミン・ブリテン作曲の『シンフォニア・ダ・レクイエム』を演奏します。

 バーンスタインは『エレミア』について以下のように語っています。

『エレミア』では、ひとりの人間のドラマが繰り広げられます。彼は、自分の生きる社会の頽廃や堕落  を悟り、自分の民族を、彼らが陥ってしまった道徳の崩壊から救い出そうとします。けれども、その人間はたったひとりで、絶望しているのです。つまり、だからこそ、私たちは互いに結ばれていると感じ、音楽を崇高な友愛歌として体験することが不可欠だと、私は思うのです。

ラターの『グローリア』は、その高揚感と献身的で歓喜に満ちた曲想により、私達に「音楽を崇高な友愛歌として体験」させてくれると、私は信じています。

『エレミア』、『静かな都市』、『シンフォニア・ダ・レクイエム』の3曲は1939年から42年の間にいずれもアメリカで作曲された戦中の音楽です。

コープランドはバーンスタインと同じくロシア系移民ユダヤ人で、『静かな都市』ではその静かで美しい様相とは裏腹にアイデンティティの問題を取り扱っています。

そして『シンフォニア・ダ・レクイエム』は第一楽章が「ラクリモーサ」、第2楽章は「怒りの日」、そして第3楽章(終楽章)は「レクイエム・エテルナ」と名付けられています。このタイトルが示すように、ブリテンの戦争に対する哀しみと恐怖、追悼・鎮魂への想いに貫かれた名曲です。

今回のプログラムでは、自分の生きる社会の頽廃や堕落、民族の道徳の崩壊とそれへの絶望から、民族性の否定などが取り上げられています。しかし、最後にはラターの『グローリア』を音楽の崇高な友愛歌として歌いあげたいのです。

皆さん!

是非私達と一緒に、

これまでなかったほどに音楽をより強く、より美しく、より献身的に、演奏しましょう!

それが暴力への返答なのです。(レナード・バーンスタイン)