演奏会を終えて
10月17日(土)新宿文化センター大ホールに響き渡った数々の合唱曲
コンサート無事に終了致しました。雨の中、一日3回のコンサートに足を運んでくださった皆様、感謝申し上げます。出演した合唱団の皆さん、長時間の歌以外での長い階段移動やシールドの作業、客席消毒も加わり、本当にお疲れ様でした。参加が叶わなかった方も演奏会実現へ向けご寄付等でご協力いただき本当に有難うございました。
■チルコット「ジャズ・ミサ」ラフマニノフ「晩祷」より 東京トリニティコール
■モーツァルト「レクイエム」向日葵の会
■ブラームス「ドイツ・レクイエム」東京オラトリオ研究会・新星合唱団・立川コーラスアカデミー
■バッハ モテット「イエス、わが喜びよ」よりカイモ「カッコー歌う」コール・クランツ
■ベートーヴェン 「ハ長調ミサ」東京オラトリオ研究会・欅の会・ベートーヴェン250年シリーズ合唱団・小平コーラス・アカデミー・東京ライエンコーア
当日他の団体のGPを聞きながら「練習はうそをつかない」という言葉を思い出していました。コロナ禍でも練習を継続してきたその時間は、やはりひとりひとりを確実に成長させたのでしょうか。本番が延期になったり練習会場が無くなったりどの合唱団も決して易しくはない道のりを歩んだであろうと思います。ようやく辿り着いた本番で、とても内容の濃い充実した素晴らしい演奏を聞かせていただきました。有難うございました。
9月或るドイツレクイエム練習でのひとこま。いつものように3小節前からピアノが始まり「Se-lig sind」、、そこで止まる。アクリルパネルの向こうから唐突に先生はこう問いかけた。「みなさんはこの数ヶ月・・闘ってきたのでしょう・・・」一瞬その場に同意と共感が渦巻く、結果連帯(のようなもの)が生まれる。言葉を聞いた後の合唱団は、同じ歌詞同じ弱音なのに別のものに変化している。さっきとは全く違う「Se-lig sind, die da Leid tra-gen 」。体の深い所から発せられる芯のある言葉と音、感情を持つ人間の強い意志を感じさせる肉声にガラリと変化する。時折人の素の心にすっと響く言葉で、団員の心を動かし思考させ合唱団から一瞬にして表現力を引き出す。全く凄い光景だったので、覚えています。『ドイツレクイエム』『ハ長調ミサ』本番、演奏を聞いた皆様のもとには何かが伝わったでしょうか。
出演したソリスト陣には圧倒的と言っていいほどに魅了されました。ブラームスは舞台上の制限により、客席一列目で歌ったおかげで楽器を間近で聞くことができました。すぐ目の前でオーケストラの重厚な音が鳴り、一つ一つの楽器が奏でるソロの箇所も「歌っている」ようにブラームスの音楽を表現し、本当に素晴らしかった。曲の歌以外の楽器がどういう風に演奏されているか、オーケストラと歌う合唱でなければ経験できない、こういう音楽を聴きたかったのだと実は心の中で少し泣いた。ブラームスをホールの客席で歌いながら、そしてベートーヴェンを懸命に歌いながら、やはりどんな困難な状況でも、音楽を止めてはいけないのだ、それを強く強く思った一日でした。
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