乗り越える力
先日ロシアから児童合唱とテノールソロの録音が届きました。コロナ禍にある遠くロシアで録画された歌声に心から感動します!ロシアの子供達がどんな思いで歌ってくれたのか、そして素晴らしい技術で魅了するテノールソロ、合唱団は確実にテンションがあがっています!
昨夜立川での『森の歌』ピアノ2台による練習を終えて帰宅すると、3度目の緊急事態宣言が延長の方向で調整されつつあるという報道が流れていました。合唱団にとっては困難な状況が続いています。
昨日の練習は特別でした。コロナ禍により何が起ころうと、音楽に、声に、歌に向き合う2時間半だけは以前と変わりがありません。それどころか「障害があるほど燃える」という少々屈折した強い感情が加わるせいなのか、練習を重ねる度に「森の歌」全体が凄いことになってきています。
ロシアから届いたアレクセイ・クルサノフさんのテノールソロの見事な歌唱と、ピアニスト吉永さん、上原さんの前回より練られたショスタコーヴィチは、私たちにこの作品の真価を示してくれているようです。そして渡部先生のソロ、合唱の各パートソロで真剣な歌声が聞こえると、次に出るパートはもっと真剣な声になります。更に本気ピアノのショスタコーヴィチ、と相乗効果で全員の音楽に対する五感が冴えていく感覚。音楽が進むにつれ真剣さの純度が高まり、出てくる音に輝きが生まれ、合唱団員、吉永さん、上原さん、渡部先生のソロ、その場にいた25人の研ぎ澄まされた(なんと表現したらいいのか・・)意志の結晶のような音楽になる。2時間半の間、時間の経過とともにそんな瞬間の連続が続く。
いま音楽、合唱活動を守る為に各人が其々行動を起こしています。決して感染症を軽く見ているのではありません。そうではなく渡部先生が昨日おっしゃっていた言葉、「困難は乗り越えて行かなければならない」。とにかく歩みを止めない、どうしたら止めずに進んでいけるかを考え実行する、そういう人々が今、アマチュア合唱団の一番重要な車輪を前へ前へと動かしているのだと思います。私たちは本番へ向けて日々練習を重ねているけれど、大切なのは本番そのものではなく、音楽をすること。活動を動かし続けること。その力の源は『森の歌』であればショスタコーヴィチの音楽。作品を歌うことで勇気と力が生まれてきます。「ゼロからの出発」「荒廃からの再生」『森の歌』を今演奏するその真意が見え始めました。