モーツァルト『レクイエム』演奏会
2018年09月04日
亀井勝一郎「大和古寺風物詩」薬師寺 より引用
『塔は幸福の象徴である。悲しみの極みに、仏の悲心の与える悦びの頌歌であると云ってもいい。金堂や講堂はどれほど雄大であっても、それは地に伏す姿を与えられている。その下で人間は自己の苦悩を訴え、且つ祈った。
生死の悲哀は、地に伏すごとく建てられた伽藍の裡にみちているであろう。しかし塔だけは、天に向かってのびやかにそそり立っている。悲しみの合掌をしつつも、ついに天上を仰いで、無限の虚空に思いを馳せざるをえないように出来あがっているのだ。
人生苦のすべては金堂と講堂に委ねて、塔のみは一切忘却の果に、ひたすら我々を天上に誘うごとく見える。しかも塔の底には仏の骨が埋められてあるのだ。』
薬師寺東塔についての文章を少し長いのですが引用させていただきました。キリスト教の宗教音楽と仏教建築??ですが、11月の演奏会モーツァルト『レクイエム』に出てくる様々な形の上行ラインが宗教をこえ、内容を超え、この文章中の塔を見上げる心持ちに似ていると思えてきたのです。
今回のモーツァルト『レクイエム』練習では、指導の先生が曲の構造を丁寧にひも解いて私たちにとてもわかりやすく解説して下さいます。例えば、4声の音階は上行ラインと下行ラインで複雑に絡み合い、和声と強弱、テキストの意味も含んで、オーケストラと声部が完璧に計算された作曲技法であることが浮かび上がってきます。今まで音符を追うことに精一杯だったフーガも奥深い音楽で魅了されます。
第九合唱団の皆様、是非モーツァルト『レクイエム』聞きに来てください。
11月5日(月)東京芸術劇場(池袋)
モーツァルト『レクイエム』演奏会
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