『後宮からの誘拐』を楽しむ秘訣? 中西 亮

2022年02月12日

こんにちは。モーツァルト「後宮からの誘拐」(4月2日@小金井宮地楽器大ホール)で指揮を務める中西亮と申します。連載第1回目ということで、私からは簡単にこのオペラの魅力をお伝えしたいと思います!

このオペラは、言わずと知れた天才作曲家モーツァルトが故郷ザルツブルクを飛び出して音楽の都ウィーンで書いた、これからの希望に満ち溢れた作品です。ですが、「誘拐」などと何やら怪しげな言葉...いったいどのようなお話なのでしょうか。

トルコへと場所を変えて物語は始まります。トルコの宮殿の太守であるセリムは、コンスタンツェやブロンデといった女性たちを捕らえ、とりわけコンスタンツェを我が物にしようとしきりに言い寄っています。そこに、コンスタンツェの婚約者ベルモンテが駆けつけ、すでにセリムに囚われていたブロンデの婚約者、ペドリッロの力も借りて共に救い出そうとしますが、太守セリムの家来であるオスミンの妨害もあったり、なんだり...果たして作戦は上手くいくのでしょうか...乞うご期待!というストーリーです。

つまり、味方が助けだそうとするのですから、日本語のニュアンスでは怪しげな「誘拐」ではなく「逃走」や「奪還」のほうが近いのかもしれませんね。

このオペラはトルコが舞台であると先ほど書きましたが、これは他のオペラにはない大きな特徴です。というのも、当時のウィーンでは異国趣味がありその視線はトルコに向けられておりました。

モーツァルトは一体このトルコ趣味をどのように表現して、ウィーンの観客の欲求を満たそうとしたのでしょうか?例えば合唱は行進曲となり、オーケストラは軍楽隊になって表現されます。他には...ヒントは、モーツァルトの有名すぎるピアノ曲、トルコ行進曲でしょうか。ぜひ、会場にお越しいただき、あなたの耳で探してみてください!!

中西 亮